歌舞伎

日本の伝統芸能
ーー歌舞伎
歌舞伎とは何か？
歌舞伎は能・狂言とともに現 存する古典演劇。歌舞伎は 江戸時代初期に生まれ、江 戸中期に完成した。女優を使 わず、女形と称する男優が 女性の役割を務める。役者 の家は世襲制で、現在も石 川家・尾上家・市村家など、 親子代々歌舞伎役者が続け ている。
「歌」は音楽的な要素である。役者が歌うわけ ではないが、長唄、義太夫などの三味線楽が バックミュージックとなって演技を助ける。雨や自 然現象も、音のないゆきも大太鼓で見事に表現 する。
「舞」は舞踊の舞である。「鏡獅子」、「娘道成寺」 など、舞踊そのものはむしろ歌舞伎の華である。 「伎」は役者が登場人物になって、演技することで、 演技の技と同じ意味である。感情の一つ一つを 大げさに誇張して表現するのが基本的な演出、 演技とともに「美」を追及している。
歌舞伎の内容
歌舞伎は、力強い様式的な「荒事」と、合理的 で写実的な演技の「和事」がある。どちらもそ こで描こうとしているのは、親子の情、男女の 愛、主従の忠義、出会いもあれば別れもある 人間の心、つまり、喜怒哀楽である。 上流階級の御殿のような豪華な舞台もあれば、 庶民の生活をリアルに描いた舞台もある。醜 かったりする場面でも美化してあらわすのが 特徴である。どんな時代にも歌舞伎は美意識 を忘れない。
女形
歌舞伎では、子役は別として、すべて男性が演 じる。男性が演じる女性の役を「女形」という。歌 舞伎の初期に女性の演出が「風俗を乱す」とい うで禁止され、男性が 女性の役を受け持つ ようになり、女形の芸 が工夫され、発達し てきた。
化粧法
歌舞伎では、かつらや衣 装ຫໍສະໝຸດ Baiduどのほかに、非常に 誇張した化粧によって、役 柄の性格を分かりやすく表 現し、印象づける。これを 「隈取」という。「隈取」は、 正義や勇気を示す紅くま、 超人的な大悪人をしませう 藍くまなどがある。
見得
芝居が最も高まった一瞬などに、首を大きく回 したり、両眼を寄せて睨んだり、口を極端に歪 めたりする大げさ動作のあと、表情や姿勢を びたっと静止させる型がある。これを「見得を 切る」という。
黒衣
歌舞伎では、黒は見えないものと思って みるのは約束ごとになっている。小道具 でも大道具でも舞台の上でいらなくなっ たらさっさと片付ける。そういう時に物語 の内容と全く関係なく舞台に出てくるの が「黒衣」である。