06年日本文学试卷(含答案)
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2006年4月上海市高等教育自学考试
日本文学选读(0612)
メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城に入って行った。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳をもって問いつめた。①その王の顔は蒼白で、眉間のしわは、刻み込まれたように深かった。「町を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
「②おまえがか?」③王は、憫笑した。「しかたのないやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑っておられる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落ち着いてつぶやき、④ほっとため息をついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんのための平和だ。自分の地位を守るためか。」今度はメロスが嘲笑した。「罪のない人を殺して、何が平和だ。」
「黙れ、下賤の者。」王は、さっと顔を上げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。
⑤わしには、人のはらわたの奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、はりつけになってから、⑥泣いてわびたって聞かぬぞ。」
「⑦ああ、王はりこうだ。うぬぼれているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟でいるのに。命ごいなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、⑧メロスは足もとに視線を落し、瞬時ためらい、「ただ、わたしに情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、わたしは村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と⑨暴君は、しわがれた声で低く笑った。「とんでもないうそを言うわい。逃が
した小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです。帰って来るのです。」メロスは必死で言い張った。「わたしは約束を守ります。わたしを、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この町にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人をしめ殺して下さい。頼む、そうして下さい。」
それを聞いて王は、残虐な気持で、そっとほくそえんだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきにだまされたふりして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。⑩人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいうやつばらにうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰ってこい。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
メロスは口悔しく、じだんだ踏んだ。ものも言いたくなくなった。
(一)次の文中の言葉と作者名に読み仮名をつけなさい。(1*5=5点)
威厳(いげん)日没(にちぼつ)
反駁(はんばく)太宰治(だざいおさむ)
残虐(ざんぎゃく)
(二)次の問いに答えなさい。(2*10=20点)
問1文中の①の「王の顔」からどんな心境が読み取れるのか、答えなさい。(30字以内)孤独感、人間不信
問2文中の②には、「おまえがか?」とあるが、省かれた内容を補って書きなさい。(20字以内)
町を暴君の手から救うのだか?
問3文中の③に、王が憫笑した理由にならないものは次のどれか、A、B、C、Dから一つ選んで○をつけなさい。(D)
A、メロスは頭が単純な男だと思ったから
B、メロスは身のほど知らないやつだと思ったから
C、メロスは補まったのに、大きなことを言うと思ったから
D、メロスははりつけになったらかわいそうだと思ったから
問4文中の④には、「ほっとため息をついた」とあるが、王のどんな気持ちが現れているか、A、B、C、Dから一つ選んで○をつけなさい。(C)
A、がっかりした
B、悲しんでいる
C、自分の判断に自身を持っている
D、心配している
問5文中の⑤には、「わしには、人のはらわたの奥底が見え透いてならぬ」とあるが、どんなことをさしているか、文中の言葉で答えなさい。(30字以内)
人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ
問6文中の⑥の「聞かぬ」とは、この場合どういう意味か、答えなさい。(10字以内)
承知しない、認めない
問7文中には、⑦「ああ、王はりこうだ。うぬぼれているがよい。」とあるが、メロスのどんな気持ちが現れているか、A、B、C、Dから一つ選んで○をつけなさい。(A)
A、王の言ったことを軽蔑する
B、王の言葉の勢いに圧倒された
C、王はいいことを言ったと感心する
D、王の言ったことを認める
問8文中の⑧に示されたメロスの性格と違うものをA、B、C、Dから一つ選んで○をつけな
さい。(C)
A、責任感が強い
B、思いやりが深い
C、決断力が足りない
D、未練の情けがある
問9文中の⑨には、「暴君は、しわがれた声で低く笑った」とあるが、この笑いから王のどんな心が読み取れるのか、答えなさい。(15字以内)
人間不信
問10文中の⑩の「これ」が指す内容を書きなさい。(20字以内)
人間は信じできない
二、次の文章を読んで後の問いに日本語で答えなさい。(30点)
虐待だとか告訴しようとか、非人間的な驚き行為だとか、兄たちの熱っぽい声がしている間①かれは目をつむって息を潜めていた。窓の向こうで雨が降りしきっているようだった。兄たちが出て行き、雨が降りやむころになってやっとかれはずきずきする痛みに小さいうむき声をあげながら目を開いた。かれは自分の部屋に頭から頬までほうたいをぐるぐる巻きにして横たわっているのだった。そして疲れきってぐったりしていた。
雨があがったあと、②すばらしい速さで雲が切れ、実に涙ぐましい青色の秋の空が現れる。そこへたちまち夕暮れが暗い影と金色のつやをみなぎらせていった。かれは乾いた血と薬品とで頭一面をごわごわさせ横たわったままそれを見つめていた。眠っているあいだ涙を流しつくしたらしい、今、まぶたの裏側は熱くなっていた。そしてかれは体を起こす気力もなくうちのめされていた。
③えたいの知れないものがかれの背の下のシーツをぬらしていて、そこから寒さが血のように脈摶を打って伝わって来た。④かれは自分がかぜをひきこんでしまいそうなのを感じていた。そしていったんそれをひいてしまうともう一生の間、ああ長い長い一生の間それから回復することができないような気がした。
母親がごく控えめな足音をたてて部屋へ入って来ると⑤窓を厚いカーテンで閉じ座した。しか