ヴァンパイアナイト10

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錐生零:逃げ、ろ、一縷。

黒主優姫:今日は人少ないね。

零:明日が試験だからな。

優姫:そっか、最後のクラスの裏方で、舞踏祭に参加できないのね。

零:そんなに行きたいのか?
優姫:ああ、別に。

ほら、私たちには警備の仕事もあるし、委員長がうるさいからどうしようかって思ってるだけで。

架院暁:静かだな。

いつもこうなるいいだが。

まだ気になるのか?
藍堂英:僕だけじゃないさ。

お前にしか分からない。

あの人と血塗られた絆がある。

お前にしか。

優姫:零。

ちょっと、一体何なのよ。

零:言ったはずだ。

あの女に近付くな。

優姫:だから、何で。

零:いいから。

あの女にこれ以上係わるな。

頼むから。

第10夜闇の姫~プリズナー~
優姫:零、何でまりあさんのこと。

黒主灰閻:ほら、優姫。

またぼうっとしてる。

優姫:ああ、ご、ごめんなさい。

黒主:だから、そこのエックスの値をここに代入して。

優姫:え、何で?
黒主:そう聞いたか。

ああ、錐生君。

ちょうどいいところに。

優姫に勉強を教えてあげてよ。

明日は試験本番だっていうのに、全然なんだよね。

零:いいですよ。

黒主:じゃ頼むよ。

僕は君たちの代わりに見回りに行かなきゃ行けないからね。

あれ、錐生君何か僕に用があって来たんじゃ?
零:いえ、別に。

黒主:そう?
零:さっきも同じようなところ間違ったぞ、気をつけて解けよ。

優姫:え?おお、本当だ。

ええと、これは確か、で、ここで出した数を使う、だよね。

零:ああ。

優姫:どうかしたの?首。

零:あの女に咬まれたところが、疼く。

忘れた夜はなかった。

四年前、俺たち兄弟を卑劣に玩んで。

血の海を作った、あの女のことを。

それでも、生きてこられたのは。

優姫:なんだかおかしいよ。

本当に今日はどうしちゃったの、零。

一休みしようか。

コーヒー入れるね。

本当、どうしちゃったの?
玖蘭枢:その姿、その名前、どういうつもりか?最初は答えに迷ったよ。

緋桜閑:あら、貴方を立てたのよ。

枢:悪趣味だな。

貴方は遊びたかっただけと思うけど。

閑:ただの遊び?貴方はいつの間にそんな良心的なものの見方をするように育ったのかしら?私と同類のくせに。

優姫:血が、欲しいの?
零:優姫がいたから、生きてこられたかもしれない。

優姫:零?
零:今夜はもう寮に戻る。

教えたことは忘れんなよ。

優姫:うん、ありがとう、零。

お休み。

零:お休み。

優姫:零、やっぱり。

なんだか、今日は。

今日だけ?ううん、違う、あれは。

まりあさんが来てから。

まりあさんは、零の間に。

閑:そう、君は私を感じることが出来る。

だって、絆のあるんだもの。

今はそれが、心の空洞を埋めてくれている。

やっと、殺しに来たのね。

過ちを犯した私に罰を与えて、零、その引き金を引けるなら。

何を驚いてるの?打てないから?
零:触るな。

閑:君は私を殺せない。

ヴァンパイアとしての生を与えた主を僕に落ちた身で殺せるわけがない。

挫かない子は初めてよ。

いい子ね。

本当に君にしてよかったわ。

どんな姿に変わっても、ちゃんと見分けてくれて、偉いわよ、零。

君の人としての生を奪った、私のこと。

零:ああ、忘れない。

緋桜閑。

あの日お前の本当の顔は、私たちの血で濡れていた。

優姫:そんな、まりあさんが零を闇に落としたヴァンパイア。

閑:この体は私のものではないの。

だから、乱暴は止めて欲しいのだけれど。

優姫:零!
零:あっ。

閑:余所見なんて、許さない。

やっぱり、借り物の体は少し使いづらいわ。

傷を癒して仕切り直しね。

お互い。

零:何?
閑:出血が、激しい飢えに繋がることもある。

気を付けて、ヴァンパイアの本性は、とても野蛮で冷酷よ。

ハンターどもも同じようなものだけどね、私に言わせれば。

運んでおきなさい。

錐生一縷:生かしておくのですか?
枢:この程度で死んでしまうなら、始めからは彼は必要ない。

でも、君は絶対に失うわけにはいかないから。

優姫:わたし、
女:教えて、昨日寝ちゃったわ。

女:ええ?私もやってないもん。

女:寝ちゃったのか。

委員長:いいですか、皆さん。

なんとしても全科目高得よう取るのですよ!早園瑠佳:何で枢様はあんな子のところに?
暁:落ち着けよ。

舞踏祭の打ち合わせだろう?風紀委員に会いに行ったわけじゃ。

瑠佳:分かるのよ、私には。

女:終わった!
女:ねえねえ、あそこどうだった?
女:もう完璧。

若葉紗頼:やっと終わったね。

ねえ、例の喫茶店でも行かない?うん?優姫?優姫:ああ、うん。

若葉:優姫、優姫、優姫!
優姫:あ?
若葉:大丈夫?具合悪いみたい。

今日はもう帰って休んだら?
優姫:うん、ごめん。

そうする。

本当、どうしたんだろう、私。

枢:やあ、優姫。

優姫:か、枢先輩。

女:前出さないでよ。

一条拓麻:やあ!
優姫:どうしたんですか?こんな時間に。

枢:舞踏祭のことで、話し合いがあってね。

優姫:あ、そうですか。

枢:優姫も来るんだろう?
優姫:はい、会場の警備を頼まれてるんで。

枢:そうじゃないよ。

優姫:えっ?で、でも、衣装も用意してませんし。

やっぱり仕事がありますから。

枢:子供のころ、よく一緒に踊ったね。

優姫:えっ?あ、はい。

私、ヘタクソで。

先輩、私に合わせてくれて。

枢:本当に危なかっしくて、ずっと傍で見守っていたかった。

君が傷付くところを見たくない。

優姫:枢、先輩。

枢:大丈夫、僕が付いているよ。

一条:枢、そろそろ行こうか?
枢:ああ。

じゃ、舞踏祭で。

優姫:あ、はい。

一条:またね、優姫ちゃん。

すっかり忘れてるみたいだね。

枢:思い出さないほうが幸せなこともある。

夜刈十牙:匂いが。

黒主:え?
夜刈:うさがす。

どうしてあんな奴は。

黒主:そうかな。

この匂い好きなんだけどな。

おいしいよ。

夜刈:なぜ学園に入れた、そいつを。

黒主:枢君の推薦でね。

ヴァンパイアの世界にはヴァンパイアのルールがある。

彼らに任せるしかない。

夜刈:あいつも、零もヴァンパイアだって言うのか?おい!
優姫:どうしたの?迷子になっちゃったの?
閑:冷たい人ね、優姫さん。

優姫:まりあさん。

閑:貴方のことをあんなに思っているあの子のことを、忘れてしまうなんて。

優姫:あの子って?
閑:いつも貴方のそばにいる。

優姫:それって、零の事?思い出した。

どうして忘れていたんだろう。

待って!まりあさん、零をどうしたの?
閑:今のところは大丈夫だけどね。

優姫:ええ?
閑:でも遠からずレベルEと化して貴方の言うことなんて聞いてくれなくなるわ。

私は零を救う方法を知っている。

取引しましょう。

代わりに、貴方にしか出来ないことを、やってもらいたいわ。

一縷:零。

零:一縷。

熱があるんだから、家で寝てないとダメだろう。

一縷:熱なんてうそだよ、零。

知ってたくせに。

零:そんなに師匠の見送りに来たくなかったのか?
一縷:オレはどうせ足手まといな生徒だから、あの人別に本気で相手をしてくれないし。

いいよ、零だけが俺のことを好きでいてくれれば。

雪?
零:違う。

季節外れの桜だ。

一縷:きれいな人だね。

零?
零:速く帰ろう。

父さんと母さんが心配している。

一縷:どうかした、零。

零:あれはヴァンパイアだから。

一縷:あ、俺には分からんかった。

零:一縷?
一縷:零は本当にすごいよ。

零:え?
一縷:俺に不足しているものも埋めてくれる。

零:一縷。

一縷、熱がある。

今日寒いのなか歩いたから。

母:やっぱり、零のベッドに潜り込んでるのね。

大丈夫?一縷は。

零:母さん、熱が出て来た。

俺氷枕取ってくるから、一縷の側にいてあげて。

一縷:行かないで、零。

母:いいわよ、零。

一縷を頼むわね。

一縷は本当に零のことが大好きよね。

一縷:俺、こんなに体弱いんじゃ、ハンターなんか無理かもね。

ねえ、零。

今日見たヴァンパイア、父さんか母さんか他のハンターに退治されちゃうのかな。

零:さあ、でも、リストに載っていれば、そうなると思う。

一縷:零も将来、ヴァンパイアを退治するようになるのね。

でも、出来るの?零ってば、優しいからさ。

零:心配しなくていいよ。

そのために師匠からいろんなことを教えてもらえってるんだから。

一縷:あ、義務っぽく聞こえるよ、零。

一縷の分も頑張らないとって、無理してない?
零:そんなことないよ、一縷。

母:一縷は?
零:外、すぐ戻るって。

あっ。

母:零?
零:あいつが牙を剥いていた。

一縷。

母:零。

緋桜閑:敏い子、親より先に私に気づくなんて。

狩人どもの双子、すべては罪深き定めのせいか。

零:何の話だ。

閑:お前にさらに罪深き定めを授けよう。

父:零!緋桜閑。

零:緋桜。

父:純血のヴァンパイアの貴方がこんなところに何の用だ。

閑:お前たちがあの人を消した。

その報いを与えに。

父:止せ!
母:零!
零:逃げろ、一縷。

一縷に手を出したら、殺してやる。

零:悪趣味な仮面だな。

あの女の好みか?そんな物外したらどうなんだ。

もう、死んだ者と思っていた、一縷。

I’ll also show you a sweet dream
nxet night. 次回
望みの代償~ディール~。

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