源氏物语

立って病没(びょうぼつ)した。
花散里（はなちるさと ）
光源氏の妻の一人。源氏の父桐壺帝の麗景殿女御を姉 に持ち、源氏とは若い頃から関係があったと見られる。 容貌はそれほど美しくはないが姉の女御同様温和な慎 ましい性格で出自も高く、また （さいほう） （そめもの）などにも堪能な女性。源氏の妻の中では となる。
大臣の娘に生まれる。東宮 （ とうぐう ） 妃となり、一 女（いちじょ）をもうけるも、東宮と死別。その娘 は後に斎宮となり退下した後冷泉帝（れいぜんてい） に入内(じゅだい)する。
東宮の死後、年下の光源氏と恋愛関係に陥る。源氏は、
ために矜持の高い彼女をやがて持てあますよう になり、逢瀬も間遠になる。源氏にのめりこんでいく 御息所は、彼を したいと渇望（かつぼう）しながら も、年上だという引け目や身分高い貴婦人であるとい う誇りから素直な態度を男に見せることができず、自 分を傷つけまいと本心を押し殺す。
町ほどの広さを誇る大邸宅（だいていたく）「六 条院」を造営し、以前から交際していた女性た ちも 住まわせるほどの権勢である。 さらに源氏と明石の君との子も宮中に入り、源 氏自身も （じゅんだいじょうてんのう・ 上皇に準じる）の位まで登りつめた。 ところが朱雀院が娘 （おんなさんのみや） の行く末を案じ、彼女を源氏に託したことから 舞台は暗転する。本妻的立場だった紫の上は動 転し病がちになり、出家を望むようになってし まった。
葵の上（あおいのうえ）
父は桐壺帝時代の左大臣、母は桐壺帝の妹の大宮。頭 中将という同腹のきょうだいがいる（どちらが年上な のかは作中では不明）。 （じゅうし）にあ たる。
当初東宮（のちの朱雀帝）妃にと希望されていたが、 左大臣の思惑で元服した源氏の北の方に納まる。だが 密かに藤壺を恋い慕う源氏には、后がね（皇后候補） として大切に育てられた深窓の姫とはいえ物足りない 心地がし、葵の上も他の女君にうつつを抜かす の夫にうちとけず、よそよそしい態度をとっていた。
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光源氏にかかわる女たち
桐壷更衣 （きりつぼのこうい）
更衣（こうい）とは、本来天皇の衣替え(ころもがえ)に奉仕する女官の称であ ったが、後に嬪・女御に次ぐ令外（りょうげ）の后妃の身位（しんい）となっ た。
按察大納言（あんさつだいなごん）と北の方との一人娘 で、桐壺帝の 。後宮では後ろ盾（だて）が無いこ ともあり、局として清涼殿からもっとも遠く不便な 淑景舎（桐壺）を与えられたことから桐壺更衣と称 する。早くに父親を亡くしたが、父の遺言を受けた 母北の方の尽力により、一族再興の期待を背負って 入内(じゅだい)した。出家した兄が一人いる。
しかし、藤壷の宮が源氏の子を出産し、桐壷帝の子として育てられ るようになってからは潮流が激変する。桐壷帝は源氏の政敵右大臣 （うだいじん）の娘婿（むすめむこ）である朱雀帝（すざくてい）に譲位。 挙句に右大臣の娘 （おぼろづきよ）と源氏の密会が露見した ことが発端（ほったん）となり京の都を追われる羽目に陥るのであっ た。
10年後（ ）にようやく懐妊、周囲は喜びに沸き、源氏も悪阻の苦 しさに心細そうな葵の上の様子に珍しく愛しさを感じた。折りしも時は賀 茂祭（葵祭、4月 (旧暦)）、周囲に勧められるままに賀茂斎院の御禊の見 物に行ったところ、図らずも家来が源氏の愛人の六条御息所の家来と車争 いし、御息所の牛車を壊し恥をかかせてしまう。この頃から葵の上は物の 怪に悩まされて臥（ふ）せるようになり、床を見舞った源氏の前で彼女に 取りついた が姿を見せるとい う事件が起きた。8月の中ごろに難産の末 （ゆうぎり）を産み、ようや く源氏とも夫婦の情愛が通い合ったと思うもつかの間、秋の司召の夜に急 に苦しんで呆気なく他界。火葬と葬儀は8月20日過ぎに行われ、源氏は それまで妻に冷たくあたってきたことを後悔しつつ、左大臣邸にこもって 喪に服した。
源氏の最初の正妻である葵の上の没後に、源氏と初床（はつどこ）となり、以後公に正妻 同様に扱われる。 たには、中宮の産ん だ女一宮と三の宮（匂宮）を養育しており、特に愛した匂宮（におうのみや）には遺言 で二条院を遺した。 源氏の最愛の妻である一方、源氏の子を産んだ明石の御方に はたびたび嫉妬し、また朝顔斎院と源氏の結婚の噂が立った 時には動揺もした。 しかし実子を持たず確かな後見ある正妻でもなかったため、 朱雀院の （おんなさんのみや）降嫁が決まった時には衝 撃を受け、自分の身の不安定さに改めて気付かされ、苦しん だ。紫の上の悩みに気づかぬ源氏と次第にすれ違いを重ね、 その心労から37歳の厄年に重病にかかり、その後数年生きる も完全な回復を見る事はなかった。晩年はさかんに が、最後までそれを まま、源氏に先
兵庫県須磨（すま）で侘び住まいを送る源氏だったが、明石で出会 った女性 （あかしのきみ）と懇意になる。一方都では災難 が起こり、右大臣は死亡、朱雀帝（すざくてい）も目を患う。これら の災い（わざわい）は源氏を追いやった報いだと考えた朱雀帝（すざ くてい）は源氏を2年ぶりに召還（しょうかん）。 これにより朱雀帝は退位し、源氏と藤壷の宮の子が即位して冷泉帝 （れいぜいてい）となる。再び風は源氏に吹くようになり、順調に出世 を重ねていくのであった。
源氏物語の書き出し
且说天皇时代，某朝后宫妃嫔众多，内中有一更衣。出身微寒，却蒙 いづれの御時（おおんとき）にか、女御（にょうご）、更衣あ 皇上万般恩宠。另几个出身高贵的妃子，刚入宫时，便很是自命不凡， またさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬ 以为定然能蒙皇上加恩；如今，眼见这出身低微的更衣反倒受了恩宠， が、すぐれて時めきたまふありけり。 便十分忌恨，处处对她加以诽谤。与这更衣地位同等的、或者出身比 はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた、めざましきも 她更低微的更衣，自知无力争宠，无奈中更是万般怨恨。这更衣朝夕 のにおとしめ嫉みたまふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、 侍候皇上，别的妃子看了自然都妒火中烧。也许是众怨积聚太多吧， ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動か し、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの 这更衣心绪郁结，便生起病来，只得常回娘家调养。皇上见了，更是 心細げに里がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思ほし 舍她不下，反而更加怜爱，也不顾众口非议，一心只是对这更衣佝 て、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世のためしにもなりぬべ 情 ...... き御もてなしなり…
全体のあらすじ

貴公子 光源氏
桐壷帝（きりつぼてい）の子、光源氏（ひかるげんじ）は幼くして母 を亡くした。帝（みかど）の後宮（こうきゅう）に新たに入った （ふじつぼのみや）が母に似ていると聞いた源氏は彼女を思い焦が れるようになり、父の後妻を愛するという道ならぬ恋に走る。 年上の頑（かたく）なな女性 （あおいのうえ）とのすれ違い続 きの結婚生活、中流の女性 （うつせみ）との仮初の恋、 との 行きずりの恋、貴婦人 （ろくじょうのみやすんどころ）と の駆け引き、そして藤壷の宮に似た少女 （むらさきのうえ）を 引き取って育て始める源氏…
が3歳の夏に病状が急変、里下り直後にそのまま死
去。女御にもできなかったことを後悔した帝（みかど）
により、従三位を追贈（ついぞう）された。
藤壷の宮（ふじつぼのみや）
桐壺更衣にそっくりの美貌の女性で、更衣の死後 も悲しみに暮れていた桐壺帝がその噂を聞いて熱 心に所望し、 で入内(じゅだい)する。桐壺帝は 藤壺と最愛の息子源氏を実の母子のように鍾愛(し ょうあい)し、共にその輝かんばかりの美しさもあっ て、藤壺は源氏の「光る君」と並んで「輝く日の 宮」と称された。 と教えられ、 元服 後も彼女を慕い続け の彼女に懐いた源氏は、 て、次第に理想の女性として恋するようになる。 そして藤壺が病のため里下がりした折に関係をも ち、その結果藤壺は の男御子（をの こみこ）（後の朱雀帝の東宮、冷泉帝）をもうける。 何も知らない桐壺帝は高貴な藤壺が産んだこの皇 子を「瑕なき玉」と歓喜し溺愛したが、藤壺の心 中は複雑だった。その年の秋に中宮に立后する。
源氏の死後の話。
薫
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追い討ちをかける事件が起こる。若い貴族柏木（かしわぎ）が女三 宮の姿を偶然見てしまい、恋慕(れんぼ)の末に密通したのだ。さ らには懐妊(かいにん)に至り、女三宮は薫（かおる）を生む。
全てを知った源氏は過去の自らの過ちを回顧し、慄く。そして柏 木は心痛から死に至ってしまうのだった。病に伏しがちだった紫 の上もまた死を迎える。最愛の人を亡くした源氏は出家(しゅっけ) を決意する。
源氏物語
浮世絵（うきよえ）
今から1000年以上前の長保3年1001 年）には、ある程度完成したと言わ れる小説。 全 （じょう）に及び、文字数は約 詰め原稿用紙で約2400枚 の大長編。70年間にも渡るストーリ ーには、約 の人物と約 の 和歌が登場する。物語としての虚構 の秀逸、心理描写の巧みさ、筋立て の巧緻、あるいはその文章の美と美 意識の鋭さなどから、しばしば「 」と称賛され、 とされる。