日本文学古典文学理念

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古典文芸理念

上代

まこと上代文学の底流をなす精神。上代人は「続日本紀」にみられる「明き清き直き誠の心」の言葉が示すように、上代人は誠をこの上なく重んじる。ますらをぶり賀茂真淵やその一門の歌人たちが提唱したもので、「万葉集」にみられるような男性的で力強く大らかな歌風をいう。

たをやめぶり女性的で優美・繊細な歌風。賀茂真淵が「万葉集」の歌風に対して、「古今集」の歌風を批判してこう称した。

中古

あわれ平安文学における代表的な美意識。優美で繊細な感情とそれを客観視できる知性とが調和した均整のとれた美的理念である。

物のあわれ本居宣長が「源氏物語」を「もののあわれ」の文学と評して以来、確立された文学理念。人の心がある対象にふれる時に湧き出る自然的・調和的感動で、即ち喜怒哀楽など人間の様々な感情を含むもの。

をかしこれも平安文学の代表的な美意識。「あわれ」「もののあわれ」しみじみとした情緒美を表すの

に対して、「をかし」は明るい知性的な美である。景物を感覚的にとらえ主知的・客観的に表現する傾向である。

中世

幽玄中世文学を中心にみられる美的理念。最初に取り上げたのは藤原俊成である。彼によると、「幽玄」とは「静寂美」を基調に「繊細美」「艶」などが複合した奥深い美としてとられている。

有心「幽玄」を継承した理念で、やはり余情を重んじるが、より技巧的で、妖艶な美が主調となっている。

無心有心に対する理念。文学では、初め連歌の世界で用いられ、庶民的で機知に富んだ滑稽な連歌を無心連歌と称した。室町時代の世阿弥の能楽論になると、禅などの影響から心を超越した無我の境地をいうように変わってきている。

わび「幽玄」を継承した閑寂で枯淡な味わいを表す理念。中世以降、世の中の無常観から隠者的な境地が尊ばれるようになり、室町期に入っては禅僧の五山文学などと結んで、茶道・墨絵などが盛んになった。そうした当時の文化に共通するものが「わび」の理念である。

近世

さび近世文学の中心理念であると同時に芭蕉俳諧の根本理念。「わび」と同様に閑寂な枯淡の境地であり、自然と一体化した世俗を超越した精神。

すい決して官能に溺れず、人情の機微を察知し、粋

適切に物事に対処していけることをいう。主として浮世草子や浄瑠璃の世界に描かれている。

うがち近世後期の文學にみられる特色の一つで、隠された特殊事実や人情の機微をことさらに暴露し写実的かつ精細に描いてみせることをいう。

義理・人情近世の封建社会制度と密接に結びついて生まれた文学理念。「義理」は、江戸時代の人々の生活を外側から規制した社会きはんであり、しかも彼らの内側からの良心の声でもあった。これに対して、「人情」は、そうした封建道徳などに規制されつつもあふれてくる人間の自然の情である。その矛盾なさまを文学の世界に描きだしたのは近松の浄瑠璃であった。

勧善懲悪儒教思想と幕府の政策方針の影響を受けてうまれた理念。善を勧め悪を懲らすこと。江戸後期文学の読本・人情本などに多くみられ、特に読本の馬琴の「南総里見八犬伝」はその代表作である

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